ヴィルヘルム・ハーツの杖—福祉機器こそ美しく優しく

デンマークの小さな田舎町の職人が手作りした、ロフストランド形(上部に前腕を預けるカフ、、下部に握り手がついた杖)の杖。

腕にあたる部分がヌメ革でできており、腕なじみもよく、あたりが優しい。

ロッド(棒)の部分に使用しているカーボンファイバーは、柔軟性に優れていて、腕や肩への負担が軽い。

なんといっても、その美しいデザインに惚れ惚れとする。

Photo: Koichi Tanoue

私も一時期ロフストランド型の杖を使っていたことがあったので、ヴィルヘルム・ハーツの杖の素晴らしさがよくわかる。

カスタムメイドのヴィルヘルム・ハーツの杖は、あるひとりの女性の杖の修繕の相談から、2人の職人が彼女の希望に応える形で生まれたと言う。

そのブランドが生まれたきっかけから興味深い。

その物語はぜひ、ヴィルヘルム・ハーツのHPを読んでいただきたい。

ヴィルヘルム・ハーツというブランド名は、この2人のデンマークの職人のそれぞれの名からとられているという。

風と地と木合同会社代表の宮田尚幸さんは、デンマークの彼らの工房に住み込んで働き、日本での代理店業務を担うことになった。

2023年からは、日本の職人と協働して、日本でも製造がスタートした。

杖はアフターフォローも重要だから、これは喜ばしいことだ。

 

どうも日本の福祉用具は機能ばかりで、デザインの美しさは考えられていない。

日々自分を支えててくれる福祉機器こそ、美しく優しく、身体に寄り添ってくれるものであってほしいと思う。

私の願いにぴったりな杖だが、もっともっと必要な人のところに、ヴィルヘルム・ハーツの杖の情報が伝ってほしいと心底思う。

 

ヴィルヘルム・ハーツ

https://vilhelm-hertz.jp/

2022グッドデザイン金賞(グッドデザインアワード)受賞

https://www.g-mark.org/gallery/winners/13812

風と地と木合同会社

https://www.kazetochitoki.co.jp/

Photo: Koichi Tanoue

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