3人でルームシェア
既成概念にとらわれない新しいタイプの老年主人公が、映画、文学、そしてマンガの世界にも登場しています。
seko kosekoさんのコミックエッセイ『マダムたちのルームシェア』も、そのひとつ。
主人公は、夫と死別した晴子さん、子育てを終えたシングルマザーの栞さん、キャリアウーマンの沙苗さん。
性格も背景も異なる3人のマダムたちが、ルームシェアして暮らすお話です。
作品では、3人の年齢は明らかになっていませんが、プレシニア世代というところでしょうか。
3人が暮らすのは、もともと沙苗さんのマンションの部屋。
きっと3LDKなのでしょう。
プライベートは自分の部屋、リビングダイニングが3人共有の場となって、日々の暮らしが展開していきます。
リビングには、3人掛けの大きなソファ+オットマン。
賭け花札、リビングで川の字で眠るパジャマパーティ、映画鑑賞、3人一緒の楽しい出来事が、リビングで繰り広げられます。
その暮らしぶりが、毎日ほのぼの楽しそうで、老後はこんなルームシェアがいいのかも、という気にさせます。
「ともだち近居」
以前、テレビドキュメンタリーで、同じマンションで「ともだち近居」を実践している女性7人の話がありました。
彼女たちは、同じマンションの別の部屋に暮らして、互いをなんとなく見守る関係。
同じ部屋でのルームシェアではなくて、それぞれの部屋があって同じマンションに暮らすというスタイルです。
何かあったときに心強いのはもちろん、日々の暮らしで楽しいことも倍になるのがいいですね。
「こんな歳だからするんです」
2人とルームシェアをしたい。でも、息子や親戚に何て言われるかと周りの目を気にして、最初は悩んだ晴子さん。
周りを気にせずに自由にできる日は、いつかではなく、いまなのだと気づいて決心します。
晴子「お義姉さんにはそんな歳でって言われるかも」
栞 「そんな歳でって言われたら
こんな歳だからするんですって言ってやれ!」
そんな風に言ってくれる友達だからこそ、一緒に住みたくなるのだとわかります。
若い頃だったら、お互いにもっと自己主張が強くてルームシェアは大変だったかもしれません。
でも、いろいろな経験を経てきたこの年齢だからこそ、配慮もできる。干渉しすぎずに見守ることもできる。人生の楽しみ方だって熟知している。
こんな風に歳を重ねたいなと思える、新しいスタイルのシスターフッド作品でした。
seko kosekoさんインスタグラムでも、3人のマダムの様子が垣間見られます。
https://www.instagram.com/sekokoseko/
『マダムたちのルームシェア』1〜2巻
著者:seko koseko
出版社:KADOKAWA
ISBN:9784046815637
ISBN:9784046824769