Over 80’sのGoodを求めて—The View From 80’s【1】

70歳になったときも、75歳の後期高齢者になったときも、なんとか65歳からの続きのような気持ちで通過しました。

もうすぐ80歳になろうという去年の夏、同い年の主人が転倒して2週間も入院することになってから、急に老いを身近に感じるようになりました。

 

私は40年近く前に発症した変形性股関節症で両方杖をついている身体障害者です。

ロコモティブシンドロームとやらには慣れていて、普通の暮らしを続けています。

同年代の友人たちが白内障の手術をしたり補聴器をつけたりするようになったという話を聞く機会が急に増えました。

80代の有名人が亡くなるニュースもよく耳にしますし、仲間の訃報が多く届くようにもなりました。

80代の難しいところは、そう遠くない将来死ぬかもしれないと同時に、あと20年生きるかもしれないという、両方のケースに備えなければならないということです。

この2つの難問が同時にあるから、いままでと違う心の重さがあるのではないかと思います。

だからこそ、Over 80’sのGoodを見つけながら、日々を楽しく大切に過ごしていきたいものです。

 

若い頃には80歳になるとどんなことが起こるのか、想像もつきませんでした。

祖父母や親の身に起こっているであろうことを、前もって知っておくと慌てずに済むかもしれません。

認知症専門医の長谷川嘉哉先生(一般社団法人ケアリングデザイン監事)の著書「ボケ日和」は、「認知症のことを前もって知ることができる」と大評判になっています。

それと同様に「老い」についても、いきなりその状況になるのと、前もって知っておくのでは、受け止め方が違うと思います。

そんなこの頃、思うことや起こることを綴ってみてもいいかなと考えて、このコラム『The View From 80’s』の連載を始めることにしました。

 


吉田紗栄子
(有)ケアリングデザイン一級建築士事務所 代表、一般社団法人ケアリングデザイン 理事、NPO法人高齢社会の住まいをつくる会 理事長。一級建築士・バリアフリーコンサルタント。“高齢である” “障害がある”ということも大切な個性と考え、身体障害者・高齢者と建築との関わりをテーマに、住宅、福祉施設等を設計。
ケアリングデザインアーキテクツ
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