ケアリングデザインの監事であり認知症専門医の長谷川嘉哉先生の著書『ボケ日和―わが家に認知症がやって来た!どうする!どうなる?』は、認知症の進み具合を4つの季節になぞらえてわかりやすい言葉で解説した本です。
介護時代でいうと、まさに春から夏に入り始めたわが親のことを考えながら読み進み、ひとつひとつの言葉や事例にじーんと染みいるものがありました。
今回新たに発売された『マンガ ぼけ日和』は、その原案が矢部太郎さんによってマンガ化されたもの。
矢部さんのほんわりした画風が、認知症患者さんをやさしくそっと見守るような雰囲気で、登場するおじいちゃんおばあちゃんも、どこかキュートで愛らしく、読後もあたたかな気持ちになるものでした。
自分が当事者になったせいかわかりませんが、数々のエピソードが、認知症患者さんを取り巻く家族にとってじーんと心に染みるものでした。
家族はいつも「今日は何日?」「覚えてる?」とか、親の記憶を試して咎めるような物言いをしがちです。
マンガでも、そんな家族の気持ちをほぐすようなエピソードがあって、ほのぼのしました。
長谷川先生がモデルとおぼしき「先生」も、認知症患者さんや家族にやさしく接する様子がよくて、うちもこんな先生に診てほしいなあと切実に思います。
マンガから『ぼけ日和』の世界を理解していくのもいいかもしれません。介護に悩んでいる家族にこそ、深呼吸するように読んで欲しい一冊です。
『マンガ ぼけ日和』
矢部 太郎/著 長谷川 嘉哉/原案
定 価:1,100円(税込)
出版社:かんき出版 https://kanki-pub.co.jp/pub/book/details/9784761276515
ISBN:978-4-7612-7651-5