完全独立型二世帯を同居型へ【50代リフォーム:93】

Yさんのお宅は、1階に親世帯、2階にYさん夫婦と子ども2人の子世帯が住んでいました。

軽量鉄骨造でフラット屋根のため、2階が非常に暑く、住みづらい家でした。これを何とかしたいと考えていたことと、父親が亡くなり、子どもが1人独立して家族構成が変化したこと、加えて母親の介護が必要になったことなどから、リフォームを決意しました。

Yさん夫婦は、大学時代コーラス部に所属。その仲間が集まる場所と、空いた子ども部屋にYさんの書斎をつくり、音楽好きの長男のために防音室もつくりたいという希望がありました。退職後の新しい人生を考えると、趣味も含めて夫婦それぞれにやりたいことが出てくるでしょう。防音室を使う長男が独立したら、夫婦の寝室を別にすることもできます。

夫婦別寝室のススメ


■設計のポイント

●暑さ対策の屋根にソーラーパネルを設置

優先順位の高い2階の暑さ対策は、軽量鉄骨の構造に負担をかけずに屋根をかけるのは難しい、という判断をしました。では、どうするか。Yさんとの話し合いの中で、「今後環境に配慮した家づくりが必要」という意見が出され、ソーラーパネルを取り付けて、暑さ対策に加え太陽光発電もできるという一石二鳥のアイデアが生まれました。幸い国の補助金も利用できました。

光熱費は年金生活を視野に入れて

●1階に介護しやすい住まいづくり

母親の介護の問題は、1階に和室とトイレ、洗面所、浴室を一体化して設けることで、ヘルパーさんの助けを借りやすくすることにしました。従来使ってきた寝室を、和室の隣の納戸に移動し、和室を洋室にリフォームして、昼間の生活の場を設けました。ベッドから一直線に配置された水回りへは、天井走行リフトの設置も可能です。

福祉用具/リフト

夫婦が1、2階を行き来する回数が増えるため、階段の段数を1段増して、ゆるやかにしました。こうすることで安心して歳を重ねていくことができるでしょう。

●家族のための応接・多目的室

寝室を移したため、小さな応接間との間をぶち抜くことができ、念願の広い居間にすることができました。結婚したお嬢さん家族が泊まりにくることもできます。2つあった玄関のうち、大きい親世帯の玄関はYさん家族が使うことに、以前の子世帯の玄関は裏玄関として使用することにしました。下足入も入れ替え、靴の収納を増やすことができました。


母親のためのリフォームは、いずれはやってくるYさんご夫婦の老後に対しても安心感を持てるという意味で、たいへんよい結果が生まれたと思います。

リフォーム事例【一戸建て】完全独立型二世帯住宅→同居型に

家族構成:夫婦(50代) 母(70代) 長男(30代) ペット1匹
該当工事面積:75㎡
構  造:軽量鉄骨造(ALC)2階建て
所在地 :東京都
工事内容:間取り変更、内装工事、浴室/洗面/トイレ、床暖房、電気工事(照明・コンセント)、家具工事、カーテン/ブラインド


 

※事例:エス・オウ設計事務所
※写真はイメージです。
吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO©ICHIRO KATAKAI/a.collectionRF/amanaimages
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