照明計画というと、照明のことだけを考えるものと思われがちですが、昼間の光と夜間の光をどう使い分けるか、という視点が必要です。それというのも、光が人間の生体に大きな影響を与えているからです。
「朝目ざめて夜眠りにつく」というリズムは、睡眠と鎮静をもたらすホルモンによって調整されています。このホルモンの分泌は、光の刺激によって左右されています。そこで昼間使用する照明は、太陽の光に近い温白色、白色、昼白色のLEDや蛍光灯を使い、夜の照明は昼間の明るさに近づけると考えるのではなく、眠りにつく前の心地よい明るさを演出することを心がけます。電球色のLEDや蛍光灯がよいでしょう。
照明はインテリアの大事な構成要素ですが、隅々まで明るいことだけが照明の役割ではありません。「光で遊ぶ」というくらいの気持ちで楽しい照明を考えてください。
明るさは、加齢による目の変化に伴い、若い頃の2倍くらい必要になります。といっても全体を2倍にするのではなく、部屋全体の明るさを100%としたら、天井照明はせいぜい60%にとどめ、あとの40%を、壁付け照明、壁面を明るく照らす照明、スタンドなどを使って、必要なところが明るくなるように配置します。いままであまり照明に関心がなかった方も、リフォームを機に光の重要性を見直してください。
40歳を過ぎると、年齢に10ルクス(明るさの単位)を掛けた数字が必要な照度と言われています。一般的に読書をするときの明るさは400〜500ルクス、55歳では550ルクス、60歳では600ルクスというのが目安です。カーテンや壁面を明るくするだけで部屋の感じがずっと明るくなりますので、一度市販のスポットライトなどを使って実験してみてください。
さらに水晶体が黄ばんでくることによって起こる乱反射で、まぶしさを感じるようにもなりますので、直接まぶしい光源が見えるような照明器具は避けた方がよいでしょう。
調光器を付けて明るさを調整したり、リモコンを使ってスイッチをオン・オフできるようにすると便利です。特にスイッチの増設ができない場合、リモコン付きの照明器具は有効です。ひとつの電球で2つの明るさを切り替えることのできる商品もあります。
最後に、照明器具の位置決めや器具選びに欠かせないポイントのひとつに、電球の球替えが楽にできるかどうかがあります。吹き抜けや階段などでは球替えに危険を伴うことがありますので、特に注意が必要です。