この壁、動かせますか?【50代リフォーム:83】

間取りを見直す際は、壁は「取ることができる」前提で考えてみます。

もちろん、構造上取れない壁はあります。取れないからといって、あきらめるのではなく、やりたいことをまず優先して考えてみてください。

リビングを庭側に広げたいけれど、壁は動かせないのであきらめるしかない…などと思っていませんか。

壁の位置を移動する、柱を別に立てたり、既存の壁に筋交い(すじかい:柱と柱の間に斜めに入れて構造を補強するための部材)を入れて補強するなど、方法はいろいろあります。ただし、集合住宅の場合は、内部の間仕切り壁しか取り外せません。

取ることのできない壁や柱がどれかを知るには、いま住んでいる家の構法をきちんと把握することです。工法によって、リフォームのやり方は大きく変わってきます。

木造在来工法の場合は、壁を移動したり、柱の位置を入れ替えたり、筋交いの位置を変更することも可能ですから、比較的柔軟に対応出来ます。

コンクリート造の場合は、基本的には構造上必要な柱・梁・壁は動かせません。

なぜ壁を動かしたいのか、その目的や意図をはっきりさせ、もし動かないのであれば、他の方法で目的を達成できないか、それを考えるのが専門家であるといえます。

木造でもコンクリート造でも、構造上の無理を強いると、耐震的にも影響する上、無駄な出費につながることにもなります。構造上動かせない柱・梁・壁は、建物の建設時に添付されている図面や書類があるので、専門家に見せて検討してもらいましょう。

ご説明したように、建物の構造上の制約はもちろんあります。

それでも、家をリフォームしようと見直すときには、まず「壁は取ることができる」と考えて間取りの壁を取り払い、専有面積はひとつの白いキャンバスだと捉えて、自由に発想してみてください。そのあとの詳細な計画は、専門家との相談で具現化していきます。大切なことは、あなたがどんな家にしたいかということです。

玄関は自由な発想でつくる

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※ハウスメーカーの工法は、上記のいずれかの構法をもとにして工業化した「プレハブ工法」で、増改築への対応にはかなりの制限があります。

 

吉田紗栄子、寺林成子著『50代リフォーム 素敵に自分流』(財団法人 経済調査会)より
PHOTO© IDC/amanaimages
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