リフォームをする際に、建具のことまで考えてプランをつくるということは少ないかもしれません。しかし50代リフォームでは、将来の使い方を見越して、少し建材にも目を向けてほしいと思います。
狭い廊下で開き戸が交差していたり、風で勢いよく閉まったりする建具はありませんか。2階に上がるときに、階段のすぐ横にある部屋の開き戸が開いて、ドキッとした経験はないでしょうか。加齢と共に少しずつ身のこなしがゆっくりしてきますので、思わぬケガにつながらないとも限りません。ふだん何気なく使っている建具ですが、リフォームを機に家中の建具をチェックしてみてください。
木製建具には、開き戸、引き戸、折れ戸などがありますが、ここでは体のバランスが悪い場合や車いすを使う場合に、体の移動が少なくて済む引き戸について述べてみます。
→車いすについて
引き戸は、建具幅とほぼ同寸法の引き込みが必要(図1)なので、開き戸を引き戸に替えることが難しい場合も多く見られます。平面を計画する段階で、よく検討しておく必要があります。
引き戸の開口幅を75㎝以上とっておけば、車いすが直進できます。開口幅が十分にとれない場合は、2本連動引き戸(図2)というものもあります。最近は、よい金具が市販されていますので、比較的楽に施工することができます。
引き戸の把手は、棒状の形が握りやすいのですが、建具枠に当たるので、開口幅を75㎝以上とる場合、扉自体の幅は10㎝程度広くしておく必要があります(図2・3参照)。
引き戸は、開き戸よりも気密性に欠けますので、気密性が必要なら、隙間風を除ける装置を組み込んだり、ゴムあるいはモヘア状のテープを取り付けるとよいでしょう。
引き戸のレールは、床と平らになるような木製レールや塩ビ系のV字型の溝のものがおすすめです。また、戸を上枠に吊る、吊り戸にもできます。
トイレなど、鍵が必要なところでは、大型の鎌錠がよいでしょう。
最近は、既製品の建具が主流になってきています。引き戸や2本連動引き戸もカタログに載っているので、いままで述べてきたような点に注意して選んでください。また、建具をデザインしてつくってもらうという方法もあります。