階段は、転落事故の起きやすい場所です。ひとたび事故が起こったときは、重症を負うケースも少なくありません。
高齢者の不慮の事故による死因別死亡者数は、1位「転倒・転落」、2位「誤嚥などの不慮の窒息」、3位「不慮の溺死および溺水」の順番で多く、これらは「交通事故よりも多い3大事故」と呼ばれています。
(消費者庁 2019年12月公表資料「みんなで防ごう高齢者の事故」より)
階段のリフォームは、一にも二にも安全への配慮が大切です。
形は、階段の中程に踊り場があるタイプが理想です。踊り場があると、万一、上の方で階段を踏み外して転がり落ちても、踊り場で止まることができるからです。らせん階段は、上り下りしながら身体の向きを変えなければならないうえ、踏み面の幅が狭くなっていたりして、踏み外しやすいのが難点です。らせん階段は、特に上の階から下りるときに危険度が増しますので、リフォームの可能性を検討してみましょう。
ご自分の家の階段の蹴上げ(階段の一段の高さのこと)と、踏み面(足を乗せる踏み板の奥行き)の寸法をご存じでしょうか。たとえば、小学校の校舎の階段は、規定により、蹴上げが15㎝、踏み面が30㎝と定められています。家庭では、そこまで緩やかにしないまでも、蹴上げは20㎝以下、踏み面は25㎝以上を目安にしたいものです。
50代リフォームでは、階段に手すりをつけることをおすすめします。両側に取り付けるのが難しいなら、せめて下りるときにつかまりやすい側に手すりをつけておきましょう。連続してつけられる、きれいな手すりもあります。
照明は、自分の影で足元が見えにくいことがないように、天井からの光だけでなく、壁付き照明やフットライトを組み合わせて配置します。また、照明の電球交換が容易に出来るような器具や設置位置を考える必要もあります。
●安全な階段の工夫
●段鼻(階段の踏み面の先端部分)の工夫
集成材の段板に溝を掘り黒いゴム(縦12㎜、横6㎜)を埋め込んだ階段。滑り止めにもなり、階段の端部がよく見えて下りやすくなる。白内障になると、黒い線ははっきりと見えるが、線がないと段差がよく見えなくなる。