現在公開中の映画『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』は、スウェーデンで累計1000万部以上のベストセラーとなった小説『ブリット=マリーはここにいる』が原作。
共働きの多いスウェーデンではめずらしく、結婚後40年間を専業主婦として“勤めあげた”主人公のブリット=マリー、63歳。彼女が家を出て始める第二の人生がテーマの映画です。
ストーリーも共感できるものでしたが、特に今回は主人公ブリット=マリーが暮らす家のインテリアに目が奪われました。
冒頭に登場する夫と2人暮らしの家は、外光が差すキッチン、白を基調にリネンやテーブルクロスで彩られたダイニングテーブル、広いランドリールームと、インテリアの見どころが多く、ぜひ細かくチェックしていただきたいところ。この映画がパッケージ化された暁には、細部を見たいと思っています。
毎日の洗濯物をチェックして重曹で汚れ落とし、カトラリーはきっちりと引き出しに収められていて、食事のテーブルセットも料理も完璧。ブリット=マリーの徹底したハウスキーピングぶりは、まさに“プロ主婦”と呼びたくなるほど。
そんなブリット=マリーは、ある日発覚した夫の浮気をきっかけに、家を出て、小さな村のユースセンターの管理人兼サッカーコーチとしての職を見つけます。
63歳での転職、そしてたぶん初めての仕事。いろいろな意味で考えさせられる第二の人生の始まりです。
たどり着いたユースセンターは、サッカーチームの子ども達が勝手気ままに使っていて、とんでもなく混沌とした状態でしたが、“プロ主婦”ブリット=マリーは、荒れ果てた部屋を掃除し、どんどん居心地のいいコージーなスペースに替えていきます。このユースセンターのインテリアの変化ぶりも素敵です。
管理人としては最適なブリット=マリーですが、実はまったく経験も知識もないサッカーコーチとしても奮闘していくことになります。このあたりはぜひ映画本編で楽しんでください。
夫の浮気、新しい仕事探し、サッカーコーチの壁、サッカーチームの子ども達との関係、さまざまな困難に突き当たる度に、「一日ずつよ、ブリット=マリー、一日ずつよ」と自分に言い聞かせながら、自力で前へ進もうとするブリット=マリー。夫との暮らしや村へ着いたばかりの頃はしかめ面だったブリット=マリーが、時々笑顔を見せるようになり、だんだんとチャーミングな女性へと変化していくさまも見ものです。
パンフレットは、漫画家の深谷かおるさん、北欧ジャーナリストの森百合子さんが寄稿。こちらも楽しめるものでした。
『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』
2019年 スウェーデン映画 97分
監督/ツヴァ・ノヴォトニー
出演/ペルニラ・アウグスト、ペーター・ハーバー、アンデシュ・モッスリング
公式URL:https://movies.shochiku.co.jp/bm/