考えたくはないことですが、遠い将来、長期療養が必要になったり、寝たきりに近い状態にならないとも限りません。また、親を引き取って介護をするということもあるかもしれません。
寝室も、50代のうちにバリアフリーの視点でリフォームすれば、汎用性のある寝室に変えることができます。
介護を必要とする状態になると、寝室は着替えや食事、排泄や入浴など、一日のほとんどを過ごす部屋になります。寝室の位置を決める際は、日当たりや通風、静かであることに加えて、緊急避難時の出入口をどう確保するかも重要です。また孤独感が深まらないよう、家族の気配が感じられる位置につくると理想的です。
寝室は、ベッドを使う想定で計画します。経験から言うと、ベッド1台であれば6帖、2台であれば8帖が目安になります。ただし、収納スペースは別に確保します。ベッド脇には、車いすへの移乗や介助者の動くスペースとして幅80㎝以上必要です。入浴サービスを受けるには、簡易組立浴槽を持ち込むスペースを想定して、ある程度の広さ(最低1帖分)を確保しておきたいものです。
部屋の温度を保ちながら換気を行う空調換気扇は、いまのうちにつけておくことをおすすめします。また、エアコンをつける位置は、ベッドに風が直接当たらないよう考慮します。
衣類はハンガータイプに吊すよりも、棚に置くタイプが増えますし、タオルも一緒に入れて置いた方が便利ですので、棚式の収納がおすすめです。ベッドで使う寝具類は、奥行きの深い押し入れ式でなくとも収納できますので、洋服ダンスの一部に専用の棚をつくるとよいでしょう。収納部の扉は開閉しやすい引き戸が適していますが、扉をつけずに、見える収納として計画するのも案外便利なものです。
寝室の照明は、ベッドに寝たときに直接光源が目に入らないような位置に取り付けることが大切です。それには全体照明を間接照明にしたり、カバーのついた照明器具を使ったりします。ベッド脇に手元灯、トイレへの動線上に足元灯も付け加えるとよいでしょう。コンセントの位置や数は十分に検討し、たこ足配線による火災やコードに足を取られる家庭内事故を防ぐように配慮します。