フィンランドのサウナ② 古式スモークサウナ

フィンランドの古式スモークサウナとは?

古式スモークサウナとは、煙突のない昔ながらのフィンランド式サウナです。
スモークサウナは、サウナの一番最初の様式で、小屋の中に石組みの窯を作り、その上に石を積み足します。その窯の中で薪を燃やしますが、窯には煙突がなく、煙は積み上げた石の隙間から出て、小屋の空間を満たし、小屋の壁の高いところに作った煙出しの小窓から外に出ていきます。

幾度も薪を追加し、炎と煙で十分に大量の石が熱くなったら火床に残った残り火や灰を外に出し、煙出しの小窓を全開して出入口を開け、焼けた石に柄杓(ひしゃく)で水をかけます。

すると、まさに「焼け石に水」の状態となって大量の蒸気が立ちます。その蒸気の圧力で、小屋の中の煙混じりの空気を押し出し、新鮮な外気と入れ替えます。空気が入れ替わったら、換気のために煙出しの小窓を少し開けた状態にして、扉を閉めて、ようやくサウナ入浴の準備が完了します。

裸になって小屋に入り、少し高いところにしつらえたベンチに座り、焼けた石に少しずつ水をかけて蒸気を立て、スモークサウナを楽しみます。

スモークサウナで暖まった体は、湖に飛び込んで冷やします。

時には、夏なら新鮮な白樺の小枝を束ねた「ビヒタ」でひたひたと体を叩きます。叩いても痛くはなく、白樺の香りが立って、心地よいものです。夏以外には、乾燥してある「ビヒタ」をぬるま湯で戻して使います。スーパーでは、新鮮なまま冷凍した「ビヒタ」を売っていることもあります。

煙突なしの小屋の中で、窯の中といえど直火を燃やすので火災になりやすく、人家からの距離、ご近所さんの火災リスクと煙が流れてくることへの了承など、建築許可を得るのも容易ではありません。また、入浴までの準備に手間暇と時間がかかることもあり、現在その数は非常にに少くなっています。

我が家の古式スモークサウナ

私も、いろいろな人からフィンランドの古式スモークサウナの心地よさを聞いて、ぜひ一度体験したいと思っていました。40数年前、我が家から少し離れたところで活動している演劇グループから、九州を舞台にした米国の戯曲の日本語指導を頼まれました。好評のうちに公演が終わった後、そのメンバーの一人が自分のスモークサウナに招待してくれたのです。かねてから聞いていた通り、スモークサウナはとても素晴らしいものでした。それで自宅を建てた後、しばらくして、自分でもスモークサウナを作ったのです。

児島家のスモークサウナ

我が家のサウナの窯は、Teppo Hulmeと、ああでもない、こうでもないとテストを繰り返して作った3代目です。

石はもちろん、彼の陶器製の石です。

TEXT by 児島 宏嘉 STUDIO KOJIMA(フィンランド在住プロダクトデザイナー)
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