「夫婦別寝室」についてのある意識調査によると、50歳以上の配偶者のいる男女で、すでに約4割が別寝室を選択していました。今後そうしたいと考える人を加えると、半数以上が別寝室を支持しています。
いまや「夫婦別寝室」は夫婦が不和になった結果行き着く先ではありません。妻も夫も、快適な睡眠環境を手に入れるための前向きな選択として広く受け入れられるようになったと言ってよさそうです。
就寝時間が別々、パートナーのいびきがうるさい、ベッドで本を読みたい、ベッドでテレビを見たいなど、寝室を別室にすればこうした問題も解消できます。
ただし、就寝中に万一のことがあったときに、誰にも気づいてもらえないという年齢上の不安を解消するためには、仕掛けが必要です。
よくある例としては、隣り合った2室を使い、廊下に出なくても行き来できるように扉をつけるプラン。動く壁として建具で区切るプランなどもあります。
●吹き抜けを利用した「夫婦別寝室」の事例
少し特殊な例ですが、吹き抜けを利用した別寝室を設計したことがあります。
1階を夫と犬の寝室、2階を妻の寝室というプランにしました。
吹き抜けを通してお互いに相手の気配を感じることができ、別寝室でも完全に切り離した感じがしないと喜ばれました。
寝室を完全な個室にしてしまうというよりは、枕は並べなくてもお互いの様子がわかるような空間が、50代からの睡眠環境には「ほどよい距離」といえるのかもしれません。
●ほどよい距離の「夫婦別寝室」の事例
子どもが独立したのをきっかけに、念願の個室(寝室)を夫婦別々につくた事例です。
何年か後に来るリタイアも視野に入れたプランであり、あわせてトイレも広くしました。
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蔵書が多い夫は、個室に書庫を希望。可動式の書棚を設置する他面梁を増強しました。
妻は衣類や靴などの収納を充実させました。
それぞれ作業のできるテーブルを置くことができ、気がねなく、趣味を楽しんでいるそうです。