サウナは蒸し風呂の一種で、ギリシャ、ローマ時代からヨーロッパ、アメリカインディアン、アイヌの人たちの文化にもありました。
ヨーロッパでは、薪で森が燃えて消えることを嫌った領主、混浴などを嫌った教会に禁ぜられて消えていきました。
フィンランドのサウナは、短い夏の重労働の疲れを取り、冬の新陳代謝を助け、お産をし、穀物を乾かし、燻製を作るなど、生活に強く直結していたということで、この地で残ったのでしょう。もちろん彼らのメンタルにもあっていたはずです。
映画『サウナのあるところ(Miesten vuoro)』では、公衆電話ボックスでサウナを作っていましたが、これは彼らなりのユーモアでしょう。映画にするためのストーリーが先だったのかもしれません。
「親父のサウナ」、「息子のサウナ」というように、それぞれに温度・湿度など、入り方の好みの差があります。また、サウナはビジネスの話を詰める場にも使われます。
サウナでもなんでもうまく輸出品目にするのも、楽しんでやっている彼らのユーモア精神です。それにしてもフィンランドの国産映画がちゃんと成り立っていることは素晴らしいです。
物事を斜めに見るところは、僕もかなりフィンランド人に似てきました。
TEXT by 児島 宏嘉 STUDIO KOJIMA
(フィンランド在住プロダクトデザイナー)
監督:ヨーナス・バリヘル、ミカ・ホタカイネン
2010 年/フィンランド/フィンランド語/ドキュメンタリー/81 分
後援:フィンランド大使館、公益社団法人 日本サウナ・スパ協会
提供・配給:アップリンク+ kinologue
公開:2019年9月14日、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺、新宿シネマカリテほか全国順次公開“サウナのあるところ” には、「なにか」がある?
世界幸福度ランキング2年連続1位となったフィンランドの人々の日常にサウナがある “幸せ” を感じさせる異色ドキュメンタリー。究極の癒しやデトックス、自分に戻る場としてだけでなく、日本の銭湯・温泉文化にも通じる、人とのつながりを生む場としてのサウナの魅力を再発見する。日本でも空前の「ととのう」サウナブームが到来中!「サ活」や「サウナー」が増殖するなか、サウナの本場と言われるフィンランドで1年以上のロングラン上映となった本格サウナ・ドキュメンタリーが、フィンランド・日本外交関係樹立100周年記念の年に満を持して公開。
©2010 Oktober Oy.