フィンランドと日本の医療の違い

〜フィンランド在住50年、プロダクトデザイナー児島宏嘉氏によるフィンランド通信〜

日本での大腸内視鏡検査

最近経験した怖い話を書きます。

昨年2018年11月末に日本へ帰国したときに、「年に一度は受診を」と勧められていた大腸の内視鏡検査(今回で2回目)を受けました。その翌日、昼過ぎに車で出かけ、車から降りると、大腿部と下肢の痛みで立っていることも苦痛で、歩くことができなくなりました。

知り合いの鍼灸医に駆け込み、なんとか痛みを和らげてもらい、少し歩けるようになりました。3日後に病院でレントゲンとMRIの撮影を受けた所、加齢による脊椎神経管狭窄によるものとの診断でした。

それまで何の痛みもなかったし、いきなりの痛みなので、加齢によるものではないのでは?と思い、「40歳で自宅を大工と一緒に自作し、最近もその増改築などをしている。運動もしているし、今まで何の問題もなかった」と説明しましたが、医師の耳には入っていない様子でした。

僕の体をよく知っている鍼灸医は、前日の内視鏡検査のため、短時間に処理能力を超える水分が入ったことで腎臓に過大な負荷がかかり、背骨を支える筋肉が緩んでいたところに、車を降りるときの姿勢で顔を出した脊椎間板で大腿部と下肢につながる神経が圧迫されて痛みが出ているのでは?との見立てでした。

なぜそのようなことになったかというと、大腸検査前に渡された指示書に「水かお茶を持参」とあったので、家から煎茶を持って行きました。指示量をすべて飲んだ後、トイレに看護師を呼びました。すると、もう2サイクル飲むよう言われて、さらに飲みました。その排便後、また確認を求めると、「まだ色があるので追加を飲むよう」にと言われましたので、「これはお茶の色ではないのか?」と持参した煎茶を見せました。すると上司に見せると言ってお茶を持ち去り、ようやく内視鏡検査になりました。しかし点滴しながら検査するという、前回とは異なるやり方でした。飲んでいたのが水ではなくお茶なのに、なぜか水だと思い込んだ看護師に、余分に飲まされたのです。

勧められた大病院の脊柱専門医の見立ても、加齢による脊椎神経管狭窄とのことで、ここでも医師は僕の説明を聞き流しでした。

1週間後にフィンランドに戻るので、2月に帰国して再診ということで、痛み止めと血栓の予防にと血液をサラサラにするという薬を、2月の再診まで毎日3回服用するように処方されました。

フィンランドに戻り、毎日膝の三里に灸を据えていると、間もなく足腰の痛みはすっかり消えました。が、血栓が怖くて、処方された薬は毎日飲み続けていました。

この冬は50年ぶりに降雪が多く、南フィンランドでも平均積雪量を大きく超え、スーパーなどの大きな面積の屋根は雪下ろしを勧告されていました。特に1月下旬は連日の多量の降雪で、道路の雪かきトラクターが袋小路の我が家の前に置いていった雪の移動に追われました。とにかくそれをどかさないと、家から車で外に出られないのです。最近は皆さんエンジン付きの除雪機が増えましたが、僕は体力トレーニングと思って、雪かきはまだ人力です。

失神・転倒による後頭部の強打事故

1月末日、ある催しで雑談中に失神し転倒して、後頭部を強打し耳からの出血で救急搬送されました。頭蓋骨の小さな骨折、脳膜の内外での出血などで、そのまま3週間の入院をしました。

フィンランドの医師に常用薬を尋ねられ、薬名と処方を告げると、びっくりされました。日本で処方された薬には脳への酸素の供給量を少なくする副作用があるため、フィンランドではそのような処方はしないと言われ、以降の服用を止められました。

失神転倒の原因は、連日の雪かきで体が疲れていたこと、会場の大きさに比べて人が多くて空気が悪かったこと、それにこの薬の影響があったのではないかと考えています。

こちらでは最近、錠剤では健康にはなれないと、サプリメントや薬への依存を批判する記事が、新聞で大きく扱われるようになってきています。

現在足腰の痛みはまったくありません、以前のように庭仕事をしています。日本の病院で、加齢という言葉で片付けられたのが残念です。

あの薬を飲まなければ、失神・転倒もなかったのでは?と疑っています。

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