味覚の感受性は、加齢とともに低下していきます。特に塩分に対しての感受性が弱くなります。
また、高齢になると口腔内での唾液の分泌機能が低下し、口渇感を訴えることがあります。のみこむ力が低下し、ときどき飲食物が誤って気管に入る誤嚥を引き起こす可能性も高まります。かむ力も弱くなり、食が細くなり、食事時間も長くなります。
生きる力と喜びを与えてくれる食事を、できる限りおいしくいただくためには、香りや色、照明に配慮することが大切です。
おいしさの演出
食事の場は、落ち着いて楽しく食べられる雰囲気にしましょう。暖色系のレッドやオレンジは食欲を増す効果があり、淡色のピーチやソフトイエローも食が進む色とされています。
椅子やテーブルも大きな要素です。テーブルと椅子の高さの関係が悪いと食べにくくなります。車椅子への対応も配慮したいものです。
食器は、その素材や見た目のデザインに配慮されたものを使います。
照明は、空間全体の雰囲気を高める光と、料理をおいしく見せる光のバランスをとります。天井や壁が暗くならないように、間接照明や壁面照明を積極的にとりいれます。
光源の選択は特に重要です。暖色系で演色性の高い光源が好ましく、LEDを使う場合は、暖かい光色を選びます。
>ケアリングデザインが考える五感アプローチについてはこちらの冊子でご紹介しています。
Drawing: Hanako Yoshida
Photo:Miki Chishaki
>五感の変化①
>五感の変化②:視覚
>五感の変化③:光
>五感の変化④:色
>五感の変化⑤:聴覚
>五感の変化⑥:嗅覚
>五感の変化⑦:味覚
>五感の変化⑧:触覚
>五感の変化⑨:体温